「舌癒着症」が医学的に認められつつあるらしい

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舌癒着症とは何か?

「舌癒着症」という病気があって、私が長年苦しんだ先天的な舌の形態異常があります。簡単に言うと、舌の裏側が口の底と癒着している病気です。

 

こういう病気っていわれてもわかんないよね笑

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正しくは“先天性舌癒着、喉頭蓋・喉頭偏位症”といいます。それこそなんだか舌を噛みそうな名前ですね。
下あごに付いている舌の位置が先天的に前方に位置しているために、舌がヒキツレ(ひきつった状態)を越こし、舌の後ろにある喉頭蓋(のどの奥にあり、誤って気管に食事などが入り込まないようフタの役目をする部位)や喉頭がゆがむため、呼吸が制限される病態です。
乳児ではおっぱいを飲みたくてもうまく飲めない、よくむせる、途中で飲むのをやめてしまう、などの症状がみられます。その結果、母親は乳腺炎や乳頭亀裂をきたしやすく、哺乳行為に苦痛を伴うことになります。他にも寝つきが悪く、乳児でもいびきや睡眠時無呼吸症をきたしたり、さらにはSIDS乳幼児突然死症候群)の予備軍になる場合もあります。
一方小児では、歯並びや姿勢の悪さ、声が小さい、発音が悪い、協調性に乏しい、落着きがない、怒りっぽい(キレやすい)、依存心が強く甘ったれ、いびき、睡眠時無呼吸症などを引き起こす可能性があります。
この疾患は常染色体優性遺伝で、この状態で生まれてくる人の方が多いといわれています。この疾患の歴史は古く、すでに16世紀にはフランスのパレという医師がこの疾患の概念と治療法を確立していました。当時のヨーロッパではほぼ全例の赤ちゃんが、出生直後にこの手術を受けたとする報告が残されています。

 

耳鼻咽喉科 山西クリニック

http://www.yamanishiclinic.jp/tongue/

 

昔は出生直後に、助産師さんがハサミでちょきんと切っていたそうです。赤ちゃんの時に切ってしまうと、体にはまったく負担にならないそうなのですが、なぜか20世紀になって禁止されたそうです。

 

歴史が古く素晴らしい手術なのに、一般の方はおろか、医学界にはまったく広まっていません。それはなぜでしょう?残念ながら20世紀初頭に、メスを持たない医師から「こんな手術はする必要がない」といわれ始め、そのままこの意見が通ってしまい、現在では小児科の教科書からこの疾患が削除されてしまいました。

 

私の場合、気道が確保できず、顎をずらして呼吸していたために、重度の顎関節症になり、全身に影響しました。整骨院の先生は、全身が怪我だらけで、自動車事故にあったようだ、と苦笑していました。

 

現在は、舌の手術とかみ合わせの矯正、整骨院での全身の治療を10年以上かけて行った結果、かなり治りました。

しかし、もっと早く治療してくれていれば、と思わない日はありません。

 

懐疑的な小児科医たち

この手術に対し「意を決して」と題して、否定的な記事を書かれた小児科の先生がいます。

 

積極的に保険治療適応でない手術をする、ある決まった耳鼻科(早稲田にある)に誘導する、そして、小児科には相談しないようにとまで言っているのです。

今の時代、セカンドオピニオンを聞かないようにということ自体が危ないことだと思いませんか?

十万円以上の手術を勧めるのに、いろんなことが言われます。

舌小帯のために哺乳障害があるだけでなく、

髪が立っている、むきぐせがある、股関節が固い、よく泣く、寝ない、鳴き声が甲高い、顔色が悪い、呼吸が苦しそう、ゼロゼロいう・・・湿疹がひどい、アトピーになるかも・・・

非科学的ないろんなことを言い立てて、切除さえすれば、すべてよくなるという言い方をします。

大昔は、助産師が出生直後にはさみでちょんと切ってたようです。

その時代を、卒後25年の私は知りません。

すでに、助産師がするこの医療行為は禁止されていて問題になっていました。

研修医時代、指導医が助産師を強く指導していた記憶があります。

 

ひだまりクリニック「意を決して書きます。舌小帯のこと」

https://blog.goo.ne.jp/hidamarisalon/e/443b767c8be7e60c4bfc9b5a66329ad4

 

この調子でずいぶんと激しく、舌癒着症手術をする医師や助産師たちを攻撃していたのですが、少し前に覗いてみると内容がガラっと変わっており驚きました。

 

最近このことで、泣いているお母さんは確かに減ったな・・・とよかったなと思っていたのですが。

この春、舌小帯の切除で母乳育児中のお母さんの乳頭の痛みが減る、哺乳障害の改善もある、外国での論文もある、

積極的にしてはどうかという報告が小児外科医の先生から

小児科学会の雑誌にあり、びっくりしました。

もちろん、学会で科学的に検証されるのは大歓迎です。

そして、エビデンスのある治療なら受け入れられることでしょう。

大切なのは、患者も医者も納得できる治療であることだと思います。

シンポジウムでは、歯科・耳鼻科・小児科・小児外科・言語聴覚士の立場での発表がありました。

哺乳障害での安易な舌小帯切除を懸念していたのですが・・・

小児外科医の先生は、そこにこそ切除の意味があるので、早めの切除をという話でした。

 

ひだまりクリニック「8/17舌小帯短縮症の公開シンポジウムで」

blog.goo.ne.jp

 

 

 

そのあとも既に知られている医学的常識を並べて、「私は必要ないと思いまーす」という内容になっているのだが、外国の論文を実際に読んで反論するという生産的なモノは一切ありません。

 

コメント欄である医師と論争しているのだが、医師であっても反対意見はピシャリと閉じてしまうようだ。

 

井出先生へ (ひだまり)2014-11-01 00:25:30井出先生
コメントを消したのに、お返事を書くのが遅く失礼しました。
けれど、先生のコメントはやはり、不安な人を惑わせるものと思い、公開できないと判断しました。
日常業務があり、お返事遅くなりました。
『1歳までに舌小帯切除すればアトピーは完治します』とのこと。
そう本当に信じていらっしゃるなら、ぜひともアレルギー学会に演題を出し、討論すべきです。
ブログに長いコメントを書くエネルギーはそちらにお使いくだるようにお願いします。討論は見守りたいです。

 

この病気の治療がこの先どうなるのか少し気になるが、どのように医学が進歩しても、もはや自分とは関係ないのだなぁと思うと、どうでもよくなって虚無的な気分になりました。

 

他人事なら良かったのにねぇ笑